私が、災害派遣チームとして行った石巻、その医療拠点は石巻赤十字病院でした。
そう、東日本大震災の中で最も早く災害対策本部をつくり、第一線の災害拠点病院として有名となった病院です。よくテレビにも、でていましたよね。毎朝、私たち医療チームが集まっていた石巻赤十字病院のロビーには『人間を救うのは人間だ!』という赤十字のスローガンが掲げられていました。この時出会ったこの言葉に、今までの医師人生どれほど励まされ、勇気づけられてきたことでしょう。私の専門の新生児医療は、まさに1分1秒を争う世界。片手に乗るほどの超低出生体重児は、瞬時に病態を判断し適切な処置をしなければ亡くなってしまいます。400gの赤ちゃん。その子の注射針よりも細い血管に点滴をとる、数ミリしかない肋骨の間を切ってチューブを入れる、それを一刻も早くやらなければいけない救急の現場は足がすくみ、手が震えました。そんな場面でいつも私の背中をおしてくれたのが、この『人間を救うのは人間だ!』という言葉でした。自分がやらなくては!この子を救うのは私だ!この言葉に出会えたからこそ、私は今も医師として働いていられるのだと思っています。
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